AI時代の知的財産のルールは昔の経済活動に比べ見えにくい。

      2021/02/26

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アメリカの2014年時点でのブロードバンド通信は、接続料が高く
スピードが遅かったが、2019年「DIGITAL2019」によるとアメリカ

の回線速度は世界6位で1位がシンガポール、2位香港、3位アイスランド
日本は10位で、アメリカの速度は改善されたようだ。

バイオ大手モンサントは米国で農家が植える大豆の9割以上、トウモロコシ
の8割の遺伝形質を所有している。

その独占的存在は同社が細心の注意を払って練り上げた戦略によって
実現したものだ。

この企業は遺伝子組み換えを施した種子と、その種から育つ大豆や
トウモロコシは殺さずに、雑草だけに効く除草剤を特許にした。

この種子から育つ大豆とトウモロコシは自身の種を作らない。
したがって農家は種まきの季節ごとに、新たに種子を購入しなければならない。

はたして15年も経たずして米国の商品穀物農家の大部分がモンサントの
傘下に入ることになった。

その結果起きたことは、種子の価格上昇である。
2001年以降トウモロコシと大豆の種子価格は倍以上となり、大豆作付け費用は

1994年から2011年の間に325%増、トウモロコシは259%増となった。
独占禁止法の問題は、2012年司法省独占禁止当局による同社の種子独占をめぐる

二年間の調査に終止符を打つことに成功した。
アメリカは中国のことを言う資格はない。

トマピケティはその著書「21世紀の資本」の中で、資本に対する利益が経済成長率
を長期的に上回る限り、一国経済における資本のシェアは拡大し続けると推測する。

しかし資本に対する利益が、なぜ時を経ても減少しないのかについては説明して
いないのである。

通常、富が蓄積されるにつれ、そこから高い利益を上げることは困難になるはずだ。
最近の超富裕層のほとんどが相続ではなく自ら働いて富を築いた事実がある。

これは市場を機能させるルールに対する影響力の獲得が要因である。
日本でもサントリーを除いてそれがいえる。

「最後の資本主義」ロバート・B・ライシュ著東洋経済新報社参照

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