日本株式と現代絵画では超長期リターンはどちらが優るのか。

      2021/02/10

1安田火災ゴッホひまわり

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1970年代「ルーチョフォンタナ」のキャンバスにナイフで切りこみを
入れただけの作品は個展で50万円の価値であったが、現在大原美術館

にあるフォンタナの「空間概念期待」という作品は数億円の値が
ついており、50年で1000倍ほどになった。

しかし公開時に日本株を持った場合はそれを上回る。
一番成長したのは「トヨタ」で、1949年公開から2007年までに10万倍に。

次がパナソニックの1953年から2000年で6万倍、任天堂が1962年から2007年
で1万2810倍、ホンダは1957年から2006年で5000倍、ソニーは4000倍で

これらは無償増資、有償増資

配当を受け取ったときのパフォーマンスである。
ちなみに「アップル」は1988年から2018年までの30年で111倍である。

絵画の史上最高額は2015年7月現在でゴーギャンの「ナフェア・ファア・イポイポ」
で、約355億円、セザンヌの「カード遊びをする人々」は約325億円だ。

美術の場合は商品として「使用価値」から「交換価値」への転換と飛躍があると
同時に、現代アートにおいては作品それ自体にもさまざまな価値の転換と飛躍が

鮮明に表れている。
価値転換の意味合いを暗示するかのように、商品と作品がパラレルに転換飛躍する。

その背景を知らない人は時に、なぜこの作品がこんな価格で売られているのか
疑問に思うだろう。

専門領域の知識や情報をたくさん持ち、それらを取捨選択したり、つなぎ合わせる
ことで新たな価値を生むことを「キュレーション」といいます。

フォンタナがやった価値の転換には二つの大きな背景と前提がある。
一つは、神の存在が疑われたことで、次に近代理性に対する懐疑と否定である。

神の僕であった芸術が人間主体に移り、その後さらに人間から絵画の制度へと
主体が移った。

このことは「ニヒリズム」に直結する。
ニーチェが直面した問題であり、キエルケゴールやショーペンハウエルから

実存主義のサルトルにまで至る、近代から現代に続く哲学上の主要な命題でも
あるのだろう。

そこから生まれるのは孤立化された個の存在である。
芥川龍之介の自殺は、象徴的出来事である。

「アートは資本主義の行方を予言する」画商が語る戦後70年の美術潮流
山本豊津著PHP新書参照

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