マックスウェーバーはキリスト教倫理と資本主義精神を説いた。

      2020/11/11

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マックスウェーバーは1864年に生れ、今から100年前に
亡くなった。

ドイツの法学者、経済学者、社会学者でビスマルクが
活躍した時代に生きた。

Weberという名前は「織る」を意味する動詞のwebenから
来ており直訳すれば「機織り職人」となる。

インターネット用語のwebも同系列の言葉に属する。
人類学者のギアーツ(1926~2006)は「人間は自分が紡いだ

意味の織物に引っかかっている動物である」と書いている。
ウェーバーはプロテスタンティズムの研究を行った。

「ピューリタンは仕事人間たろうとした。私たちは仕事人間に
ならざるをえない。というのは、禁欲は修道士の小部屋から

仕事の生活のただ中に移されて、世俗的道徳を支配しはじめる
とともに、こんどは、非有機的機械生産の技術的経済的条件に

結びつけられた近代的経済秩序の、あの強力なコスモスを作り
あげるのに力を貸すことになったからだ。」

選択的親和性はプロテスタンティズムが資本主義を生んだ、という
因果関係ではない。

むしろ一見まったく関係のない両者が相互に化学反応をおこす。
アダムスミスの「見えざる手」は私利私欲を求めて市場に入ってくる

アクターは市場の論理にしたがうことで、「公益」に資することになる。
このような説明ならば理解しやすい。

政治における暴力の契機を押し出すウェーバーの議論に、最も激しい
批判をしたのがハンナアーレントであった。

彼女はウェーバーの思考に対し次のように指摘する。
権力、力、権威、強制力、暴力のような用語法がきちんと識別されていない

ことは政治学のかなり嘆かわしい現状を反映している。
他者と一致して行為するところで生じるのがパワーであり、それは暴力と

異なるだけでなく、むしろ暴力の対極にある。
人々が一致して抵抗することで盤石の体制があっけなく崩壊することがある。

カントは他人の指示を仰がなければ生きていけない未成年状態から脱することを
「啓蒙」と呼ぶ。

彼が強調するのは公衆が自由に議論するプロセスの中で生じる互いに開かれて
いく経験である。

「マックスウェーバー」近代と格闘した思想家 野口雅弘著 中央公論新社参照

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