マッチ擦るつかのまの海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや

      2020/10/23

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私は十七音の俳句よりも、三十一文字の和歌のほうが断然好きだ。
結びの七七に歌の心持ちが表されているからである。

芭蕉の「奥の細道」の「五月雨をあつめて早し最上川」の一句は
芭蕉が最上川にちかい高野一栄という人のお宅に行って、歌仙を

巻いたときに詠んだといわれる。
芭蕉が詠んだのは発句で、高野一栄が脇句として「岸にほたるを

つなぐ舟杭」と七七を付けた。
このときの発句は「早し」ではなく「涼し」であった。

水原秋櫻子が那智の滝を詠んだ「滝落ちて群青世界とどろけり」
季語は滝で夏である。

藤原公任が編集した「和漢朗詠集」に白居易の「琴詩酒友皆捨我
雪月花時最憶君」という漢詩がでてくる。

この雪月花は日本の文化に大きな影響を与えた。
芥川龍之介の句「蝶の舌ゼンマイに似る暑さかな」季重なりである。

有名な中村草田男の「降る雪や明治は遠くなりにけり」「切字」である
「や」と「けり」が入っている。

明治三十四年(1901)生れの草田男が昭和に詠んだ句である。
切字二つは上手くいくほうが珍しい。

たとえば「暁の蜩四方に起りけり」を「暁や蜩四方に起りけり」とする
とバランスが崩れ失敗する。

「トンネルは神の抜け殻出れば朱夏」神は朱夏の中に存在する。
スケールが大きい句である。

「死をいとひ生をもおそれ人間のゆれ定まらぬこころ知るのみ」吉野秀雄
の歌である。

お寺の山門をくぐる前に
自分の心を見つめる準備をしなさい、ということ。

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