1945年アメリカが堕とした二発の原爆により日本は消えた。

      2020/07/10

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網野善彦さんは「日本人とは何か」(講談社)という本を
2000年に入ってから出しました。

この言葉の問題提起は1980年代からなされています。
このことは、今の日本の社会だけにとどまらず原爆投下以降

人類社会が質的にそれまでの時代と明確に変化したことを
表しているのです。

人類が技術や文明の進歩をめざし、豊かになろうと走り続けた
時代を「青年時代」だとすれば、現代はコロナウィルス感染を

はじめ、うっかり対応を間違えると人類全体の滅亡に及ぶような
死の要因を自らが内に抱えるようになった。

つまり立ちどまって考える「壮年時代」になったのである。
3億年繁栄した恐竜は隕石で絶滅したが、たったの400万年しか

生きていない人類は感染症と伝染病の流行との戦いの歴史を辿って
きたが、人間が半分になったペストは6世紀から始まりふたたび

14世紀から17世紀に流行し、オスマン帝国は19世紀半ばまで続いた。
1918年から流行したスペイン風邪は日本人にも多くの死者を出した。

詩人のギョーム・アポリネール、社会学者のマックスウェーバー
画家のエゴンシーレ、日本では辰野金吾、島村抱月が亡くなった。

「日本人」という言葉は単一民族ではないという現実を孕んでいる。
琉球人がいて、アイヌ人が存在しそしてそれ以外の人間が住んでいる。

そもそも日本民族という言葉は正しくはない。
いわば日本人がこの島に住んでいるだけである。

世界にはクルド人のように国は持たなくても、固有の民俗は存在する。
二万年ちかく前に、この国土に住むようになったことと、朝鮮半島から

の移住民により現在の日本という国は成り立っている。
そこにおいては戦前のような人間の存在を無視否定したイデオロギー

は徹底して排除されねばならない。
歴史的に日本は南北朝の十四世紀に大きな転換点があったとされる。

この時変わったものは、「幼年期から青年期」への転換である。
人間の意識や資本主義といった近代社会の原点にあたるものが

生れ、差別問題も登場した。
そのような意味では現在おかれている環境も700年前と変わらない。

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