原子核の周りを回っている電子は「とびとび」の軌道をとる。

      2020/07/08

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とびとびの軌道とは量子化した軌道である。
電子の軌道モデルをボーアにならって同心円と考えれば

中心にある最小の円が電子のエネルギーが最小になっている
位置にあたる。

こうしてボーアは最も内側に位置するこの電子的状態をもって
原子の安定性を説明した。

この電子が自分の内側の軌道に跳びうつるには、エネルギー
恒存律からも類推できるように、そのエネルギー差のちょうど

そのぶんにあたる何かを損失しなければならない。
プランク=アインシュタイン仮説にそって提案された光量子

すなわち我々がふだん「光」とよんでいる当のものが
それである。

このようなボーア理論によって次のことが、あきらかにされた。
まずプランク=アインシュタイン仮説のとおり、光はとびとびの

塊として放出されている不連続な量子であること、ついで電子も
また離散的な量子であり、これまたみずからの軌道を跳び回って

いること、そしてさらには、そもそもエネルギーの最小単位は
おそらく「原子的形式」にありそうであること。

理論物理学者であり、最も直観的にして大胆な仮説者ドブロイ
が「物質波」の烽火をあげた時代背景では、以上のようなボーア

理論をめぐる詮議がさかんにとりかわされていた。
ドブロイの構想の出発点は、光に波動性と粒子性があるのならば

一般に原子的粒子にも波動性があるのではないかという判断にある。
すでにピタゴラスの往時より、両端の固定された弦はその基本波動数

の整数倍、あるいは「倍音」で振動することが知られている。
結局ドブロイの直観およびその後の推理は「光において語られしもの」

を物質一般に拡張しようとする、物理学のにヴぁーノヴァ―リス的努力
にあったとおもわれる。

量子論はライプニッツの予言「自然は跳躍しない」を裏切って、自然
における連続性を否定した。

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