私達は日々の生活を「思い出の中に」生きているわけではない。

      2020/06/28

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1947年2月3日生れのユダヤ系アメリカ人ポールオースターは
第一作小説に1976年「スクイズプレイ」という推理小説を書いた。

オースターが書いた批評的エセーには、カフカやベケットといった彼が
影響を受けた作家の文章が含まれ、のちに「空腹の技法」に収められた。

私たちは昨日のことをせいぜい五分か六分で思い出す。
一日の出来事は五、六分程度にダイジェストされている。

起きている生活する十四、五時間の情報が五、六分程度に短縮されている。
これを「情報圧縮」という。

これが脳の編集力の秘密のひとつなのだが、じつに不思議なことである。
もともと情報には、情報の「地」GROUNDと情報の「図」FIGUREがある。

「地」は情報の背景的なものであり、「図」はその背景にのっている
情報の図柄をさす。

私たちは、おおむね情報の「図」だけに注意しながら日常生活していると
いってよい。

背景はあまりにも連続しすぎているので、それを省いてしまうのである。
ゆえに昨日一日のことを思い出すばあいは、総計900万の情報から五分ぶん

を取りだすことになる。
我々は感受性や存在感という言葉をよく使う。

これらは印象を言っていることである。
女性の「かわいい」という言葉もあてはまる。

このような印象批評と編集は異質のものである。
編集は情報を区別し、連携させる。

秩序とはオーダー(順番)である。
情報のオーダーの設定が生活の秩序をもたらす。

情報とは区別力である。
コンピューターの原理には19世紀なかばの天才

ジョージ・ブールによる「論理代数」が基礎づけられている。
「不思議の国のアリス」の作者ルイスキャロルはブール代数

の大ファンであった。
アリスはブール代数のファンタジーに遊んだ少女だったのだ。

ブール代数は「真」と「偽」を1と0の二値記号によって表せ
るようにしたものだ。

いかなる情報が対象であっても二値的に区切りながら進めば
よいという原理をつくっている。

このブール代数による計算を論理計算という。
ブール代数による論理計算は、まずどんな情報をも同質的な

単位に還元してしまう。
これがいわゆる「データ」というものである。

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