躰の中で「骨」はどこか秘密めいてエロチックなのである。

      2020/01/26

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襟ぐりの大きく開いたドレスを着たとき、ぴんと伸びた
鎖骨が女の胸元に浮き上がって見えることがある。

鎖骨の形は人によって微妙に異なるらしく、必ずしも
太っている人に鎖骨が見えにくいというわけでもない。

女の鎖骨は細く、脆い感じがする。
脆そうなのに、触れば硬く、硬いわりには、しなやかである。

マリリンモンローはあまり骨が浮き上がる体形ではなく
モンローは肉でできた芸術品であった。

鈴木清順監督の映画「ツィゴイネルワイゼン」で、大谷直子
扮する美しい芸妓を傍にはべらせ、原田芳雄が彼女の白い腕

を撫でまわすシーンがあった。
濃い紫色の着物を着た芸妓は、酒の酌をしながらふと、死んだ

弟の話しをする。
旅館で毒を飲んで死んだ弟は、一滴も血をもらすまいとした

ためか、汚れは残さなかったが、その代わり、焼き場で焼いて
持ち帰った骨をふと見ると、骨の内側が赤く染まっていた。

原田扮する男は、芸妓の腕を取り、着物の袂をめくって、白い
腕を剥き出しにする。

そして指を這わせながら言う。
「細くてきれいな骨をしている」と。

死んでしまった妻のかわりに、芸妓はやがて男の後妻に入る。
あなた、私の骨が好きなんでしょ。

私が死んでからだを焼いたら、きれいな透き通った桜の花びら
みたいな骨が手に入ると思っているんでしょ。

わかるわよ、いつだって骨をしゃぶるみたいな抱き方だもの。
芸妓はそうつぶやいた。

最近の子供たちの発育は驚異的に早いようだ。
50年以上前にも、女性として発育が早く色気まである子がいたものだ。

その時代はごく一部の女の子だが、なぜ今性的にも早熟になったのか。
社会環境が大きく変わって、そのような女の子を生みだしたの

だろうか。
中三のときに、クラスに一人、スポーツ万能の初々しい美人がいた。

確か陸上部の主将をしていたはずである。
朗らかで、心優しく、おまけに面倒見も良かった。

ある秋の放課後、教室にまだ何人かの男子生徒が残っていた時のこと。
彼女が運動着で風のように教室に入ってきた。

部活動の最中、何か教室に忘れ物をして、それを取りに来たところ
であったらしい。

白いポロシャツに濃紺のVネックのセーター、紺色のブルマ…
確かそんないでたちであったと思う。

彼女は走って来たから、暑かったのだろう彼女は「暑い」と言い
ながら、やおら着ていたVネックのセーターを脱ぎ始めた。

白いポロシャツは、いくらか薄手で身体にピッタリしたものであった。
セーターを脱ごうとして両手を高く上げた瞬間、形の良い、美しい

乳房の輪郭が、シャツの下にはっきりと透けて見えた。
彼女の細いウエストや背中、腕からは想像できない豊かさであった。

男より女性のほうが、断然「臭覚」が発達しているのは
なぜだろう。

人間の男と違って、犬や野生の動物のように生きていくために
与えられた能力なのだろうか。

そして男にない能力、それは「母性」である。
真夏の昼下がり、公園の木陰のベンチに若い母親が乳飲み子を

抱いて座っている。
母親の額には健康的な汗が光っている。

白いタオルで、母親は自分の顔や赤ん坊の顔の汗を拭っている。
母親が赤ん坊に何か話しかける。

幸せここに極まれり、という表情である。
この子と母親は、妊娠中、母親の胎内で、胎盤と赤ん坊のへその緒

は深く繋がっているのである。
赤ん坊が産声をあげるまでは、そのように繋がっていく。

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