小泉武夫さん1943年生れ東京農業大学名誉教授発酵学泰斗。

      2020/01/25

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日本は「水」の国です。
お茶の国で、漬物の国です。

美味しい水で炊く「お米」の国です。
福島の歴史350年の造り酒屋で生れた小泉武夫さんは

「日本食」は一汁一菜で成り立つと言います。
味噌汁と漬物とご飯があれば、日本食なのです。

要するに発酵食品とご飯ということです。
脂肪分は青魚から出てくるオメガ脂肪酸が最高。

福島の八溝山地の山奥で、電気も水道もない小屋で
自給自足の生活をする猟師の「義っしゃん」。

すぐれた猟犬を従えて、燻した猪やうさぎの肉に舌鼓を打ち
渓流で釣った岩魚や山女を焼いて頬張り一升酒を楽しむ。

小泉武夫さんは忙しい生活の合間を縫って、旧友に会いに
八溝矢祭町から、山奥を目指しました。

担いでいったリュックの中には、義っしゃんの好物「粕取り焼酎」
二升と「飛魚のくさや」が三枚入っている。

これほどの土産は他にはない。
粕取り焼酎は小泉さんの実家で醸造した三年ものである。

戦争直後、昭和二十年代「カストリ」として流行った。
本来は酒粕から作るが、当時はヤミの粗悪なものであった。

久慈川を渡り、八溝山地が近づくと水郡線の矢祭山駅だ。
山の上までは駅からタクシーで行くしかない。

義っしゃんの小屋は標高650メートルである。
小屋には大量の薪と軒下には大蒜が干されて、となりには唐辛子

とドクダミや千振などの薬草が束になっている。
小屋に入ると天井から囲炉裏鉤に、魚や野鳥、蛇、カエルが吊ってある。

カエルは赤蛙、蛇は蝮とシマヘビである。
野鳥はつぐみと山鳩と椋鳥そして鶉である。

夕飯は「獅子鍋」を作るが、猪の別名は「山鯨」である。
猪を捕まえる義っしゃんの猟犬は、秋田犬と高安犬の掛け合わせである。

三年もの粕取り焼酎は40度もある。
それを湯のみでストレートでやる。

「蘭凌の美酒鬱金の香り、玉椀盛り来る琥珀の光」
中国の酔聖李白の詩である。

肉を燻すことは、煙の中に「フェノール」という物質があり、それが
強い殺菌力を持っていて、さらに灰は「苛性カリウム」という成分が

主体で、強いアルカリ性を帯びているので、腐敗菌や病原菌は増殖
することができず、死滅するので長く保存が可能になる。

八溝の「八」は多いとか強いという意味を持つという。
古代では人は、「八」までしか数えなかったので、八は最も多い数

を意味し、力の象徴でもあった。
例えば「八雲神社」「八坂神社」「八岐大蛇」「八百万の神々」などだ。

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