「神はサイコロ遊びをしない」とアインシュタインは言った。

      2020/01/23

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量子論の創始者ハイゼンベルグは、サイコロ遊びが好きな
神を受け入れればよいと反論した。

もともと近代科学は、自然を研究することを、神の意図を
理解し、神の存在証明をするための作業と考えてきたが

時代を重ねるにつれ、皮肉にも神の不在を導き出すことに
なっていく。

現在の自然科学の目標は、対象たる物質を所与のものとしてその
起源、構造、運動、変化の法則性を明らかにすることにある。

例えば「万有引力は距離の二乗に反比例」していることを証明した
のであり「なぜ距離の二乗則になっているのか」を解明してはいない。

近代自然科学は、16世紀中葉の「コペルニクス革命」に始まり17世紀
に入ってガリレイの実験、デカルトの哲学的基礎、ニュートンの古典

物理学の完成まで、およそ100年をかけて作りあげられたものである。
彼らが目指したものは、紀元前4世紀に確立したアリストテレス自然学

の打破であり、けしてキリスト教神学への挑戦ではなかった。
この二つは、本来別物であり13世紀まで敵対関係であった。

ところが13世紀中ごろにトマス・アクィナスが「神学大全」において
アリストテレス宇宙体系と神学教義を調和させようとした。

この天動説によって、至高の神が宇宙の中心に位置する地球に在ること
が保証され、その神に直接仕える教会こそが現世の支配者となった。

しかしフラウェンブルグ寺院大管区長であるコペルニクス(1473年生れ)
は、神が宇宙を創ったのなら、こんなに複雑な宇宙であるはずがないと

疑ったのだが、最大の問題は地球が太陽を回ると、唯一神が地球に在る
根拠がなくなるということである。

コペルニクスが「天体の回転について」という著書で、「地動説」を
発表したのは、彼が亡くなった年である。

これに対しガリレオガリレイ(1564年生れ)は1609年発明されたばかり
の望遠鏡で天の川を観測した。

こうして地動説と無数の太陽の発見により、神は地上から追放されて
しまった。

宇宙を創ったのが神であろうとなかろうと、この宇宙を認識している
のが人間であることは間違いない。

認識の主体である人間が生れない宇宙であれば、存在そのものを議論
しようがないのである。

宇宙の年齢や大きさ、宇宙の構造、基本定数の値、それらすべてが
人間の存在を保証するようになっている、と考えるのが「人間原理」だ。

ビッグバン宇宙の提案者はジョージガモフで1947年のことであった。
宇宙が膨張しているなら、昔の宇宙はもっと小さかったはずである。

ガモフは宇宙の始まりという極限まで想像を展開することにした。
宇宙の始まりは、物質は一点に集中し密度は無限に高い。

つまり宇宙は高密度、高温度状態から出発したことになる。
宇宙は膨張する中で、神の手を借りることなく自己組織化した。

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