軽躁とは、落ち着きがなく、軽々しく騒ぐこと。
2019/11/28
戦後日本で亡くなった中国人文筆家、陶晶孫の著作「日本への遺書」
の中に、日本人に欠けている心情として「ユーモアとメランコリー」
が挙げてある。
メランコリーとは悲哀感であり気がふさぐことです。
夏目漱石の先生である内田百閒はその作風が「人生の諧謔と悲哀を綴る」
といわれ特異な存在であった。
甲斐の国の武田信玄はその遺訓に「軽躁なるものを勇剛とみること」と
己を戒めています。
「風林火山」の「林」は徐かなること林の如しで、軽躁の反対、静謐の
価値を重くみている。
終戦を確定する玉音放送を軍から守り、大任を果たした鈴木貫太郎首相
は八月十五日総辞職し、次の東久邇内閣も二カ月で辞職した。
この内閣に二人目の外務大臣として迎えられたのが、吉田茂です。
彼は都内の仮寓に鈴木貫太郎を訪ねていき、助言を求めた。
吉田は鈴木に何か大きな見識を授けて欲しかったのであろう。
鈴木は「負けっぷり良くやって下さい」と言った。
この言葉が総理大臣になってからも、吉田茂のプリンシプルに
なったようだ。
敗戦国日本の再建復興という難事業をGHQマッカーサー元帥と
行っていくにあたり、独特のユーモアをもってした。
機知に富んだ応対の仕方はウィンストン・チャーチル首相に
よく似ていた。
最近テレビのバラエティー番組などで、言葉が乱れていると
いう指摘がよくあるが、私は感じません。
民放よりもチャンネルを3つも持っている官営放送の方がどれほど
言葉遣いが間違っているか、発音がおかしいか正して欲しい。
間違っている例は「お茶席にはいろいろな人をお招くのでしょう」
といった使い方や、「場内の案内に従って入場下さい」との言い方
で、「入場下さい」は日本語ではなく「入場して下さい」が正しい。
文語調では「入場されたし」となります。