戦後70年余、文学は戦前に比べて進化をなしとげたのか。

      2019/08/26

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1960年代は国民の関心が政治から経済に移った時代でした。
1970年代は端的にいって近代の限界が見えた時代です。

資本主義がほころびを見せ始めました。
東京オリンピック(1964年)や万博でもり上がったが

気がつくと戦後もすでに30年を経て1973年には第一次
オイルショックが起きて日本経済は壊滅状態でした。

この時代におきた大きな流れは今までにないノンフィクション
の興隆です。

1970年に創設された大宅壮一ノンフィクション賞はこの世界の
芥川賞とも呼ぶべき作家の登竜門となりました。

私小説が存在する日本には、創作と記録の境界がもともと
曖昧です。

その中で石牟礼道子による畢生の大作「苦界浄土ーわが水俣病」
(1969年)が上梓されました。

この作品自体が創作と記録のゆらぎをもった意志の現れでした。
1956年熊本県水俣市で発見された水俣病は、チッソ水俣工場が

不知火海に放出した廃液から起こされた奇病でした。
この作品は作られた過程において不思議な作品です。

私たちは今、「苦界浄土ーわが水俣病」という作品を再度
かみしめて時代をふり返るためにも文字を追う必要があります。

公害にかわり1970年代から計算されていたことですが、21世紀
から人口減少、高齢化、認知症問題が社会を覆っています。

過去に遡ると1972年に有吉佐和子による「恍惚の人」が老人介護
をテーマにして書かれました。

この作品はオイルショックを予告した堺屋太一の「油断」に続き
30年という時間を巻き戻し、現在の高齢化社会を予告した点で

秀逸と言えます。

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