川柳「天高く月夜のカニに御座候」と今川焼。

      2018/02/09

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この川柳は終戦後まもなしに、復興した夕刊紙の一つが
焼け跡で意気消沈している大阪市民を景気つけようと

川柳を募集したときに、1位になった作品です。
月夜のカニに身はない事をかけています。

この時代、腹は減っていても食う物は無かった。
誰も皆、痩せていて栄養失調の市民がほとんどであった。

大阪の隣に姫路市がある。
この川柳は最後の「御座候」が効いているのだが、この町に

今川焼または大判焼きを作っている会社で、社名が御座候
という企業があり姫路には工場がある。

私はデパートで大判焼きを販売しているこの会社の名前
御座候がどこから来ているのか、いつも不思議に思っていました。

今川焼の方は江戸時代、今の千代田区に今川橋がありその近くで
焼かれていたので、今川焼という名前になりました。

今日は久しぶりに川柳を楽しみましょう。
川柳の大家、川上三太郎さんの作品からです。

「恐山石石石石死死死」
さながら死と死の間に石を詰め、という印象を感じます。

青森県下北半島の恐山は、この世ではない雰囲気の場所です。
人外境のイメージをこの作品は端的に表しています。

「法善寺芝居のような雪が降り」
大阪ミナミの法善寺、千日前と道頓堀のあいだの面白い場所です。

法善寺は戦災で本堂は焼けたが、水掛不動さんが今に残り
ミナミの庶民に尊崇されています。

青く苔むしたお不動さんに柄杓の水をかけて拝んでいる。
夜はまさにお芝居の舞台のようです。

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「うつむいていればつとまる公務員」
お役人はまさにこう見える。公僕だけにはなりたくない。

「出世しよっていやらしい声となり」
しよる、という大阪弁は「言いよる」「泣きよる」というように

動詞の下にくっつけて、やや軽んじ、おとしめる意味あい
敬語の「しはる」の反対語です。

川柳はなんとなく簡単なようで、実はとても奥深くなおかつ
芸術でなくてはなりません。

むつかしさも面白さもそこにあります。
「川柳でんでん太鼓」田辺聖子著参照

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